食品


COPYRIGHT 1997-2000 by Masahiro Taguchi & Megumi Yagi, Japanese Club of Poland


 長いワルシャワ生活における健康管理の基本は、バランスのとれた食生活である。ポーランドで生活するのであるから、ポーランド人と同じものを食べるのも一つのやり方だが、糖分、油分の多いポーランド料理は、必ずしも健康的とはいえない。日本人に合った食生活を維持していくことは大切である。とくに、子供のいる家庭では、食生活に神経を使っていることと思う。
 現在は、お金をかければほとんどの基本的な日本食料品を調達することができるが、いかに日本食料品を入手するかだけでなく、どれだけポーランドの材料を使って日本人にあった料理を工夫できるかを考えるのも楽しい。


野菜・果物

 野菜・果物はポーランド産のものはもとより輸入ものもあり種類も豊富である。季節が移り変わりとともに、いろいろな野菜・果物が店頭に並んでは姿を消していくので八百屋は季節感に富んでいる。日本人には親しみのある、大根、白菜、葱、もやしなどもある。
 冬場でも基本的な野菜はあるので心配はない。野菜では、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、トマト、きゅうり、マッシュルーム、キャベツ、サラダ菜、にんにく等、果物はりんご、オレンジ、グレープフルーツ、バナナなどがある。
 春から夏にかけては、いちご、あんず、さくらんぼ、ブルーベリーなど色とりどりの果物を楽しむことができる。どっさりと買い込みジャムやコンポートにし、冬場でもビタミンをとれるように準備する家庭が多い。
 8月・9月はきのこの時期である。森でのきのこ狩りはポーランド人の楽しみの一つである。これもまた干したり、マリネにして保存しておく。きのこを使った数々の料理は一年中食卓をにぎわせてくれる。
 食卓で日本とはまた違った季節感を楽しむのもポーランドでの生活の楽しみの一つである。


野菜・卵・牛乳・に関する注意点

 野菜・果物: 新鮮なものを購入し、必ず洗ってから料理すること。特に生で食べる野菜には気をつける。例えばきゅうり、トマトなどは皮をむいて食べるほうが無難である(皮の厚さによるが)。果物に関しても同様で、特に紅茶に入れるレモンには注意したい(化学消毒してあるため)。
 卵: 生卵を食するのは避けること。サルモネラ菌の被害もあるので卵を割る前に湯で洗うようにする。また、卵は市場で買ったほうが新鮮である。殻、または中身に菌があることもあるので、殻を洗ってから使うようにし、調理して食べた方がよい。
 牛乳: パックで売っているものは長持ちするがビニールの袋に入って売っているものは日持ちがしない、又一度沸騰させてから飲んだほうがよい。古いものは酸っぱい臭いがするのでわかるが、わかすと沸騰しないで分離してしまうのも古いので飲まないようにする。

(Robert Barszczewski・医師 1994.05)



肉・ハム・ソーセージ

 肉屋の軒数は魚屋の軒数より圧倒的に多い。過去に肉の値段を政府が決定したとたん、政権が交替に追い込まれたこともあるくらい、肉はポーランド人にとって重要な食べ物の一つである。バザールでは大胆に切り分けられた肉の塊がそのままカウンターの上に並べて売られている。その後ろのほうでは、切り株の上で小さな斧を片手に肉を裁いている。その横に牛の頭が転がっていることもある。たまに、店先で豚足がきれいに並べられて売られているのも見かける。

肉に関する注意点
 国営及び私営の店頭で購入すること。路上にトラックを止めて売っているいる肉は買わないほうがよい。必ず獣医による検査済の看板(MIESO POD NADZOREM WETERYNARYJNEJ INSPEKCJI SANITARNEJ)のついている所で買う。店にはクーラーがついていないことや、肉がそのままカウンターの上で売られているところもあるので、特に夏季に購入する場合注意が必要である。また調理前に一度肉を洗うほうがよい(店により、お金を触った手で肉を扱っているところがある為)。

(Robert Barszczewski・医師 1994.07)


 ポーランドで屠殺は週2〜3回おこなわれる。市場に出回るのは屠殺後2日後のものが多い。選ぶときの注意点はなるべくきれいな色(ピンク色)のものを購入するのがよい。バザールで売られているものはだいたい検査済である。またポーランドの肉は少し固いので、よくたたいたほうがよい。また、あくが強いので一度ゆでてから使用するのも一つの方法である。

(町田静子・レストラン「将軍」 1994.07)




 魚は、冷凍、生、くん製の3つの状態で売られている。以下が主に出回っているものである。

 サバを探すのは少々困難。またサバはいたみやすいので注意が必要。
 新鮮な魚を入手するコツは、なるべく午前中に買いにいくこと。店には冷房施設がない所が多く、午後になると氷が解けだして魚の保存状態がよくないためである。また、ほとんどの店は月曜日に仕入れをして火曜日に売る。仕入れは普通週1回なので、この火曜日にならぶ魚がいちばん新鮮であると言えるであろう。
 1996年オープンしたワルシャワ近郊PiasecznoにあるAuchan、市内のGeant等のスーパーマーケットで輸入鮮魚が買えるようになったが種類は少ない。木曜日に購入すると良い。日本食料品店MIRAIも魚をおいている。また、La Mareeという会社があり、鮮魚を空輸してもらうことができる。

(福永俊厚・レストラン「東京」 1997.07)



日本食料品

 日本食、お米については、在ポ邦人の殆どは、KIM‐CENTERというところで買っています。2種類の日本ブランド韓国産米(75zl、95zl)、日本食材が買えます。時期によって買える物等は異なります。住所は次の通りですが、外からは判りづらい場所です。

 ul. Naleczowska 60 TEL 651-95-05, 642-93-03

 「曙」では、和菓子を販売しています。生もののため、常時店頭に置いてある数は多くありませんが、電話注文(日本語)に応じて作っています。練きり、焼き菓子、蒸し饅頭、ぎゅうひ、団子などができます。場所は地下鉄Sluzew駅上のショッピングセンターC.H."LAND"1階(日本流2階)です。

 171a C.H.LAND ul. Walbrzyska 11 02‐739 Warszawa TEL 549-91-14

(松本明・「曙」 2000.02)



 現在、日本人が経営する日本食材専門店はワルシャワにはありませんが、アジア食材一般を扱う店は何件かあります。たとえば:

 "Asian House" ul.Poznanska 1 tel.628-57-74
  (同上)   ul.Okopowa 29B tel.632-99-29

 納豆は、納豆菌を国内で入手し、持参して冬場の暖房設備を利用しつつ作る、という方法か、あるいは時々ベルリンかウィーン辺りへ出かけて大量に仕入れ、冷凍しておくという方法があると思います(刺身も同じ)。米は、品質を問わなければスーパーにて入手できますが、質を求めるなら上記のような店で入手することが出来ます。

納豆菌入手先: 高橋祐蔵研究所 山形市八日町2−1−17 tel.236-22-4001 ドライ粉末、瓶入り

(加須屋明子・国立国際美術館 2000.02)




パン・ケーキ・アイスクリーム・喫茶店

 ポーランドのパン・ケーキ・アイスクリームはおいしい。店によっていろいろ特徴がある。
 パンは食料品店、スーパーマーケットにもおいてある。


アルコール

 ポーランドの代表的なアルコールといえば、ウォッカ(wodka)、はちみつ酒(mi d pitny)、ビール(piwo)の3つである。
ウォッカ(wodka): ウォッカにとって大切なのは、何回もろ過したきれいな水とアルコール度の高い蒸留酒である。推薦できるのは「Jazz」というウォッカである。戦前の二大有名ブランドであった、「Smirnoff」と「Baczewski」は、双方とも戦後しばらくの間ポーランドで生産されていなかった。「Smirnoff」は戦後、ポーランド人がアメリカの地でつくりはじめ、世界でも有名なブランドになった。現在はポーランドでもつくられている。「Baczewski」は戦前リボフでつくられていたブランドだが、最近再び昔ながらの方法でつくられるようになった。
 新しいところでは「Belweder」、「Chopin」という銘柄もある。味はともかく、瓶のデザインがそれぞれ独特であり見ているだけでも楽しい。
はちみつ酒(miod pitny): はちみつ酒の歴史はウォッカより古く、中世にさかのぼる。中世ではこのはちみつ酒とハンガリー・ワインが飲まれていた。この酒は水と蜂蜜の割合によい名称が変わる。例えばpoltorak(ハチミツ1:水1.5)、dwojniak(ハチミツ1:水2)、 trojniak(ハチミツ1:水3)、 czworniak(ハチミツ1:水4)がある。poltorakはめずらしく、値段も他のに比べて高い。
ビール(piwo): すべてのビールは89年の体制変革後おいしくなった。現在急成長中であるのは「EB」というメーカーである。89年の体制変革以降ポーランド系オーストラリア人よって創立され、 ElblagとBraniewoに工場をもつ。 Elbl gの工場は近代的であるが、一方Braniewoの工場は17世紀からあるものである。
 そしてもう一つ、ポーランドでいちばん長い歴史を誇るのは「Zywiec」である。現在でも多くの人々に飲まれている。

(Jacek Wan・レストラン「燕」 1994.07)




ポーランド買い物事情

 食品の価格・ショッピングセンターの紹介:  Ohtsuka's Home Page 


ポーランド料理に関して

スープ類

 スープの訳とされているポーランド語のズッパは元来、具が入ったものを指しているようだ。米や麦を入れたどろっとしたおかゆのようなものや肉や野菜がはいっているものがこのズッパに当たる。それでは普通のスープは何というかというと、コンソメとかブイヨンといわれている。なるほどビートを使ったエンジ色のバルシチと呼ばれるものも、具が入っていないものは、czysty(きれいな、澄んだ)と言われ、ビートスープとは言われないし、トマトスープといえば、大抵マカロニか米が入っている。しかし、レストラン等のメニューではもちろん、一般的にはズッパはスープのことだ。変わったものとしては、キュウリのピクルスのスープや発酵キャベツのスープ等がある。夏になると上記のバルシチに生クリームを入れたピンク色のフォドニック(chlodnik)と呼ばれる冷めた(温かくない)スープも食べられる。日本人に一番好まれるの は、白バルシチ、通称ジューレックと言われる酸味のあるスープで、大抵ソーセージやゆで卵が入っている。これは肉と野菜を煮込んだだしに、パンや小麦粉等を発酵させた液体をいれたものだが、じゃがいもなどの具を入れたりしたものもある。もう一つズッパというよりも、一品料理でよく食べられるフラキ(flaki)という牛や鶏の食道の部 分を刻んで、コンソメで煮込んだ一種の臓物料理がある。意外と食べやすいが、ちょっと匂いがキツイのが難点。またグラシュ(オーストリアやハンガリーで一般的)といわれる肉の煮込み料理がありますが、ポーランド料理では牛肉の代わりに鶏の心臓を煮込んだものもある(gulasz z serc)。

肉料理

 ポーランドでは牛よりも豚が好んで食べられる。肉屋でも豚肉の方が値段が高く、レストランでも料理の数が多いようだ。場所によっては羊やうさぎ、鹿などが食べられる所もあるが、一般家庭では圧倒的に豚か牛を料理することが多い。また鶏やあひる、七面鳥も食べるが、これらの肉はdrob(家禽)といわれ、肉屋にはないが八百屋で売られていたりすることもあり、肉として一段したに見られているようなところがある。以前は鶏肉といえば、一羽丸ごとか、よくても背中を割った半分を買うしかなく、自分でさばかなければならなかったが、最近はささ身はささ身、手羽は手羽とわけて買うことができるので楽になっている。
 もっとも一般的な肉料理は豚のカツレツ。レストランによっては骨付きででてくるところもある。串刺しの肉にウォッカを振りかけたものや、豚足なども一般的。付け合わせはじゃがいもをゆでたものやキャベツやビートの酢漬けサラダといったところ。 変わったところでは、 タタールステーキといわれる牛の生肉にピクルスやタマネギ、卵黄、その他香辛料を混ぜたものを食べる。
 また、肉の加工品として腸詰めやハムは絶品。太さも、脂肪分も、食べ方も、調理法も非常に富んでいて、種類も多く、どれがおいしいとは一概にいえない。南方でよく食べられる白いソーセージや、豚の血と麦を詰めたカシャンカといった変わったものもある。ハムに関しては、デンマークやオランダ産といわれている缶詰のほとんどはポーランドからの輸出によるものが多い。

魚料理

 バルト海に面してはいても、ポーランド料理として魚料理は貧弱なものだ。一般的には鰊が最も多く食べられるが、ほとんどは酢漬けかオイル漬け。ちなみに鰊の日本風といわれる料理が存在するが、これはオイル漬けの鰊にタマネギ、ゆで卵を細かくしたものをマヨネーズであえたもので、特に日本とは関係がない。それと同時に魚のギリシャ風といった料理もあり、これはトマトピューレにタマネギ、にんじんなどの野菜を煮込んだものに白身魚をソティしたものを加えたもので、かなり一般的に食べられる。鰊ではマスタード漬けにしたものが意外とおいしい。その他よく食べられるのが鯉で、クリスマスにはミンチにした団子風のものが食べられるが、 一般的にはソティにしたものや、天麩羅のようにしたものが多い。レストランのメニューでは鱒のソティもある。白身魚として鱈もよく食べられるが、たらこや数の子は市販されていない。鮭や鯖、鰻の薫製も普通の店で買うことができるが、車海老や小海老、烏賊は冷凍物、蟹、鮪などはほとんど缶詰になっている。貝類も購入は可能だが、瓶詰め、冷凍がほとんどで、種類は限られている。最近はヴェジタリアンブームもあり、魚介類も結構食べられるようにはなったが、まだまだ一般的にはなっていないのが実状だ。

調味料

 一般的にスラブ料理の特徴として酸味があげられる。これはポーランド料理も同じで、ガイドブックにもでてくる酢キャベツとソーセージを煮込んだビゴスやジューレック、又は白バルシチ(ボルシチ)というスープも酸味があるし、真っ赤なビートスープも仕上げに果汁エッセンス等を入れる。
 スープ類は最後の仕上げとしてよくサワークリームをいれるが、これも熱いスープにヨーグルトのようなものをいれるわけだから、基本的には酸味で調味しているわけだ。また、気候がら保存食が発達していることもあり、発酵キャベツや発酵きゅうりも好まれる(一般的に言われている酢漬けキャベツや酢漬けきゅうりとは違って発酵させたもの)。 ポーランド料理と一概にいっても、 ドイツ料理やロシア料理の影響もかなりあり、ポーランド料理のみを列記するのはちょっとたいへんだ。ただしポーランドにいる間にこれだけは食べて見るべきものは多数ある。例えば白チーズ。普通の店で売っているが、脂肪分が多く弾力のあるものや、脂肪分が少ないchudyと呼ばれるものもある。
 基本的にはポーランド料理は家庭料理だから、各家庭によって味も作り方もまちまちだ。そのため仮に初めてポーランド料理を口にして、美味しくなかったからといって悲観することはない。特にレストラン等では、こういった家庭料理的なものはあまりメニューにはないし、味も比較的特徴のないものが多い。だから本当のポーランド料理を試そうと思ったら、ポーランド人家庭に招待されることがベストだ。

(金子潤郎 1994.07)