マナー・習慣


COPYRIGHT 1997 by Masahiro Taguchi & Megumi Yagi, Japanese Club of Poland



挨拶



挨拶: 通常は握手。ドアや敷居をはさんで握手をしてはいけない。必ず一歩部屋の外にでるかまたは一歩下がって部屋の中に入り握手すること。同様に、タクシーのドア越しに握手をしてはいけない。タクシーの中か、または降りて握手すること。女性は相手の手を強く握らない。また男性が手をとる仕草をしたとき右手の甲を出す(ポーランド人が結婚指輪を右手の薬指にはめる理由は、挨拶をするとき女性が既婚者であることを示すためとか・・・)。また大勢がお互いに握手しているときは、人が握手をしている手の上でクロスさせて握手してはいけない。親しい間柄になるとお互い頬に軽くキスを一回または三回する。

 挨拶の言葉は、朝・昼は「ジェン・ドブレィ(Dzien dobry)」、暗くなれば「ドブリィ・ヴィエチュル(Dobry wieczor)」。親しい間柄の場合は、会ったときも分かれるときも「チェシチ(Czesc)」を使う。英語の"How are you?"に当たるのは「ヤク・シェン・パン・マ("Jak sie Pan ma?")」(男性に対して)、「ヤク・シェン・パン・マ("Jak sie Pani ma?")」(女性に対して)。通常は「ジェンクゥイェン ドブジェ。ア・パン/パニ?("Dziekuje dobrze. A Pan?/Pani?")」と言おう。これは英語の"How are you?"のように挨拶に必ず付いてくるものでもなく、通常は「ジェン・ドブレィ(Dzien dobry)」だけで充分。


訪問



訪問: ポーランド人は「名の日(imieniny)」(*)をはじめとしてお互いの家を訪問することが多い。もし招待されたときは花やケーキ、お酒(ワイン等)などを持っていこう。特に花束や高価なお酒を持っていく必要はなく、バラの花1本でも素敵なプレゼントになる。なお、女性がウォッカを持って人の家を訪問することはまずない。
 家庭菜園を持っている家も多く、週末に郊外の家庭菜園に誘われることもある。親密な関係の場合は、持っていくものを分担して、サンドイッチを作ったりビールなどのドリンクキープを担当するのも良いだろう。ポーランドでは、クリスマス・復活祭の時期、旅人らが突然現れても歓迎する習慣になっているが(そのため、かならず1名分余分に席を用意する)、基本的に家族水入らずで過ごす休日であるため、こちらから押し掛けていくことは避けたい。しかし誘われれば、それは家族同様に扱っている証しで、ありがたく招待を受けると良いだろう。年越しのパーティは友人同士で過ごすことが多い。
 ポーランド人は家族の交流を大切にする。親密になりたいときは積極的に自宅に招待すると良い。日本人はニコニコしてレストランにまでは誘うが、それで終わることが多いという評をよく耳にする。
 *ポーランド人の名前はすべて聖人の名前からとっているので、人々は自分と同じ名前の聖人の誕生日に親しい友達を招いてホームパーティを開く。

服装: タキシードやロングドレスで集まるパーティは通常ではほとんどない。アメリカのように「どのような服装でお伺いしたらよろしいですか?」と聞くまでもないが、公式なパーティの場合は正装が望ましい。女性の和服は喜ばれる。週末などのホームパーティは、カジュアルな服装で行う場合が多い。どのような服装で訪問したらよいか迷う場合には、ホストや招待予定の友人に確認すること。

訪問時間: 13:00-16:00に招待された場合は、メインディナーの場合が多い。特にティータイムという時間帯はない。夜はサンドイッチやケーキの場合もあるし、軽食とアルコールという場合もある。日曜は家族との時間で、午前中には教会に行く家庭も多い。

: 名の日などで招待されたときは、奇数(1、3、5、7本)で花を買う。偶数は、不幸があったときなので間違えないように。

話題: 初対面の人と政治を話題にしても差し支えない。むしろ、話題がないときは政治論議で話をつなぐほどである。宗教についてはタブーではないが、個人の問題なので、不必要に話題にしないこと。ただし、ほとんどの人がカトリックなので、話題には良くあがる。あなたは何を信じているのかと、逆に聞かれることも良くある。その時は自信を持って自分の信条を述べれば良い。異教だからといって差別されることはない。未婚・既婚については、複雑な場合も多いので、必要ない限りふれない方がよい。相手の家族についても聞いてかまわないが、あまりしつこく聞くのは良くない。いうまでもないが、女性の年齢は聞かないのがエチケット。


食事



食事: 基本的なマナーは他国と同様。食事中に水を飲む習慣はないが、テーブルに用意されていれば飲んでも構わない。パンは、メイン・ディッシュの時ではなく、スープの時に食べることが多い。

スプーン・フォーク: スープを口に運ぶときのスプーンの角度は斜めがよいとされているが(フランスは横)、特にマナーとして決まっているわけではない。フォークにライスなどを乗せる場合、特にフォークの背に載せる習慣はない。

お酒: お酒はウォッカを出すのが最高のもてなし方とされているが、最近はワインを出す家が多い。ビールは低級なお酒で、接客には出さないという雰囲気があったが、最近は外国産高級ビールの進出と、国産ビールの品質向上で、ディナー・テーブルにビールがのることも多くなった。お酒を注いでもらうときはコップやグラスを持ち上げないこと。持ち上げるとはしたないと見られる。相手が注ぎにくそうなときは、注ぎやすい位置にグラスを移動させることは構わない。また、ウォッカの場合は、食事の途中でも誰かの音頭で一斉に乾杯して飲むのが習慣なので、勝手にチビチビやらないこと。ウォッカは通常、何かを食べてまず胃に膜を作ってから飲みはじめる。女性がお酒を注ぐことはない。

席次: 宴席の場合、イギリスでは細長いテーブルの両端にホスト・ホステスが座り、彼らに近い方が席次が上になるが、ポーランドをはじめとするヨーロッパ大陸の場合、テーブルの真ん中を挟んでホスト・ホステスが座り、彼らに近い方が席次が上になる。したがって、机の角の方が末席となる。通常は、ホストが席を指示してくれるので、それに従えば良い。


社会生活



チップ: トイレは1zlが相場。通常、トイレの入り口に値段が書いてある。タクシーは端数を切り上げる程度。払わなくても良い。レストランも払わなくて良いが、サービスが良く払いたい場合は、端数を切り上げる程度か5%ぐらいが良いかと思う。高級レストランでは5%〜10%が普通。一定人数以上の場合は、請求書に前もって10%つけてくるレストランもあるので、確認すること。(2004.08)

タバコ: ポーランドでも喫煙者は次第に公共の場から排除されつつある。会食や会議でタバコを吸う場合には、必ず周りの了解を求めること。クラクフでは、バス・市電の停留所でも禁煙。

挨拶状: 旅先からの挨拶の絵はがき等ははがきのまま送っても良いが、クリスマスや復活祭のグリーティング・カードは封筒に入れて送るのが礼儀。日本から送る場合も同様。

レディ・ファースト: ポーランドでは高齢者をいたわることは当然のことである。また、レディ・ファーストの習慣も、他のヨーロッパ諸国よりも重んじられているようだ。旅の恥はかき捨てとはいえ、少しでも知っていれば恥などかかずにすむ、とは思いませんか?
 まず、高齢者に対しては、席を譲るってこと。バスや市電などの公共交通機関で、おじいさんや、おばあさんが乗ってきたら、席を譲るのが普通である。タヌキ寝入りなどしないこと。また、お年寄りのほうから席を譲って欲しいと言ってくることもあるので、慌てず、にっこり笑って席を譲ろう。日本のようにシルバー・シートなんてありません。ただし、女の人が子供を抱いたマークはある。これはもちろん幼児と母親用。また、ポーランドでは乳母車のまま乗ってくるのも普通なので、あなたが入り口付近のスペースに立っていたら、場所を譲って上げてください。
 それからバスへの出入りはもちろん建物への出入りのときにも気を遣う。目上の人を優先して通すのは当然だが、もしあなたが男性なら、ドアを開けて女性も先に通す。女性ならうろたえずに、軽くありがとうと言って通してもらうこと。(佐藤佳織、モニカ・シフルスカ)

鼻水: 風邪をひいて鼻水が詰まるとき、人前で鼻をすするとマナーを知らない人と見なされる。一方、ハンカチで鼻を拭ってまたポケットに入れる仕草はよく見かけ、これは特にマナーが悪いとは見られない。

車の席次: オーナードライバーの場合、客は(1)ドライバーの隣、(2)後部座席で助手席の後、(3)後部座席でドライバーの後、の順に席次が高い。運転手がいる場合、(1)後部座席で運転手の後、(2)後部座席で反対の端、(3)後部座席で真ん中、(4)助手席、の順に席次が高い。ただし、外務省の席次はこれと異なる。
 タクシーに乗るときは、通常席次は気にする必要はない。通常はは目上の人、招待した人、女性などを後部座席の奥(運転手の後)に入れ、自分は後から乗るが、老人で奥まで移動するのが大変だったり、荷物を持っていたり、女性の服装が動きにくいものだったりした場合、臨機応変に自分から声をかけて、奥に乗ってあげた方がむしろ親切。

列車・飛行機の席次: 進行方向に向いた席が席次が高く、反対方向が席次が低くなる。また、(1)窓側の席、(2)通路側の席、(3)真ん中の席、の順で席次が高い。

バズ・トラムの上下車: 上下車は老人、女性、子供が優先。ただしカップルの場合、乗るときは女性を先に、降りるときは男性が先に降りて女性が降りてくるときに手を添えてあげる。

エスカレーター: 必ず右側に立つ。追い越すときは左側を。


縁起



縁起: まず吉数は7と3。凶数は13。ほかのキリスト教の国と同じだ。13日の金曜日は日本で言うところの仏滅である。新しく物事を始めるときはこの日を避ける。
 もし、あなたの目の前を黒い猫が横切ったら、その道は不吉である。後からきた人を先に行かせて、その人に災いを背負わせてしまうか、他の道を通って回避するか。それとも自ら災いをふりかぶるのか。選択はあなた次第。
 また縁起が悪いといえば、空の桶を担いだ女と二人並んだ尼さん(修道女)である。桶を担ぐ人は、田舎の方にでもいかなければ見掛けないが、尼さんはワルシャワのいたるところで遭遇する。
 次ぎは縁起の良い話。左手がうずくとお金が入ると言われる。ということは、サラリーマンのお父さんは毎月左手がうずくのかも知れない。
 それからコウノトリはワルシャワ郊外でも見掛けることができるが、そのコウノトリが巣を作った家には赤ちゃんができるそうだ。時々、そんな飾り物を置く家も見掛ける。
 もうひとつ。煙突掃事夫に出会うと縁起が良いと言われている。もし見掛けたらすぐにボタンを握ること。幸運が逃げていきませんように。(佐藤佳織、モニカ・シフルスカ)

不幸・・・起こらないように: 不吉な話をしたあとに、それが本当に起こらないようにと願って、テーブルの裏側などをコンコンと軽くたたく。たとえば、「パパの帰りが遅いけど,交通事故なんかにあっていないよね。」と言ったあとで、「コンコン」とテーブルの裏側をたたき、いわゆる厄払いをしておく。このときたたくのは木製のものの裏側でなくてはならない。

くしゃみは「健康に」: 誰かがくしゃみをしたときは、大抵近くにいる誰かが「Na zdrowie(健康に!)」と声をかける。

お礼は言うな: 試験の前日などに「頑張ってね(Polamanego olowka)」といわれたとき、「ありがとう(Dziekuje)」と答えると試験に落ちるといわれる。「頑張ってね」と声をかける人は、ついでに「お礼は言うなよ(Nie dziekuj)」と続けて言う場合が多い。

鏡は割るな: 陶器・ガラスをうっかり落として割ってしまったら、周りの人が「お幸せに(Na szczescie!)」と声をかける。しかし、鏡を割ると「7年間の不幸(Siedem lat nieszczescia)」ということだそうだ。鏡はくれぐれも割らないようにご注意を。ちなみに、結婚式の披露宴では、新郎新婦が乾杯のシャンパンを飲んだあと、グラスを肩越しに後ろに投げて割る習慣がある。

角は禁物: みんなでテーブルを囲む場合、未婚の女性が机の角に向かって座ると、婚期が遅れると言われる。