ポーランド外国投資公社(PAIZ)

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憲法


 ポーランドは1989年より民主国家として再出発した。しかし、体制転換が開始された時点で、すでに新しいポーランド政治・経済・社会体制について社会的合意が成立していたわけではない。そこで、新憲法について充分に議論が煮詰まるまでの間、暫定的な「小憲法」が制定された。しかし、新憲法を巡る議論はなかなかまとまらず、1992年の「小憲法」制定から新憲法の制定まで、実に5年を要した。この5年間の歳月は、決して無意味に流れたわけではない。ポーランド国民はこの間、自分たちがどのような社会を目指し、国際社会の中でどのような地位を占めたいと考えるのか真剣な議論を積み上げてきてきた。ポーランドの理性と英知と伝統が凝縮された憲法は、こうして熟成されていったのである。そして、1997年5月の国民投票で新憲法は承認された。

 新憲法では、ポーランドを「社会的公正の諸原則を実現する民主的法治国家」と規定している。憲法は結社の自由を保障しているが、ナチズム、ファシズム、コミュニズムといった全体主義的プログラムを持つ政党・組織の活動を禁止している。ポーランド共和国経済体制の基礎は、経済活動の自由、私有財産、および連帯、対話、社会のパートナーとの協力を前提とした社会的市場経済である。

 ポーランド国家を代表するのはポーランド共和国大統領である。大統領の任期は5年で、国民の直接投票によって選出される。再任は1期のみ認められる。大統領の主要な任務は、国際条約の批准、大使の任命・解任、首相の任命と首相の指名した大臣の任命、国軍の最高指揮監督、法案の提出、市民権の付与、栄典の授与、恩赦の執行のなどである。

 ポーランド国会は、下院(セイム)と上院(セナット)の二院制である。下院の議席数は460で、議員は52の選挙区から選出される。上院の議席数は100で、議員は各県から2名(ただし、ワルシャワ県とカトヴィッツェ県は3名)選出される。任期は4年である。選挙権は18歳以上のポーランド国民が有しており、被選挙権は下院が21歳以上、上院が30歳以上である。両院議員は不逮捕特権を持つ。
 下院への議案提出権を持つのは、下院議員、上院議員の他、大統領、政府および10万人以上の下院への被選挙権を持つ市民を代表するグループである。法案は下院で第3読会までを経て議決される。次に上院で審議され、必要に応じて修正される。この修正に下院が反対しなければ法案は成立する。このあと、大統領が署名して発効するが、大統領は法律が憲法に抵触していると見なした場合は、その法律を憲法裁判所に提訴する事ができる。国会または大統領は、国民にとって重要な問題を国民投票にかけることができる。

 政府(閣僚会議)は、最高行政機関として、予算を編成・執行し、国内問題、対外関係、行政の処理に当たる。首相を指名するのは大統領である。指名された首相の組閣をおこない、大統領が首相と大臣を任命する。これに対して下院は信任案を議決する。もし信任されなければ、首相の指名権は下院に移り、それでも決まらなければ再び大統領が指名する。最終的に首相の信任が得られない場合は、大統領は下院を解散する。
 
 司法権は、他の国家権力から完全に独立している。最高司法機関は最高裁判所である。最高行政裁判所は、行政および地方自治体の活動に関わる訴訟を審理し判決を下す。憲法法廷は、法令、国際条約が憲法の趣旨に抵触していないかを審理する。国家法廷は、大統領、首相、閣僚、国会議員などの憲法上の責任を審理する。オンブズマンは、国民の自由と人権を擁護するため活動する。最高監察院は、行政、国立銀行、国営企業、地方自治体の活動を監査する。
      

(田口雅弘)



憲法全文(ポーランド語)

邦訳: 小森田秋夫訳「ポーランド共和国憲法」(阿部照哉・畑博行『世界の憲法集 (第2版)』、有信堂高文社、1998年) 




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