ポーランドに住む
ポーランド人と結婚した人の滞在手続きマニュアル

勝瞬ノ介



●前提

 以下は、日本でポーランド人と結婚した人(性別は問わない)が、ポーランドに入国、または滞在する際に必要とされる書類・手続きについてまとめたものです。ご注意いただきたいのは、以下の説明が、

  • すでにポーランド人と結婚している人
  • 労働目的での入国ではないこと
  • 留学目的での入国ではないこと
などの条件を前提としていることです。労働目的、留学目的の場合にいついてはここでは触れませんので、必要な方は関係機関に直接お問い合わせください。


●滞在の種類

 まず、ポーランド人と結婚した日本人が、ポーランドに入国・滞在する場合、以下の3つの可能性が考えられます。
  • パスポートのみによる、ごく短期の滞在
  • 短期滞在許可による滞在(半年以上)
  • 永住
 では、それぞれ説明していきましょう。


●パスポートのみによる滞在

@ビザなしの場合
 現在、日本とポーランド間では、90日以内の滞在についてはVISAが免除されています。ですので、ポーランド人配偶者を持つ日本人が観光目的等でごく短期のポーランド滞在をする場合、必要とされる手続きは特にありません。

 ただし、入国時に、滞在中の必要経費をまかなえるだけの財源を保有していることを証明するよう、要求される可能性があります。目安は一日につき100zl程度です。

Aビザが必要な場合
 90日を越える滞在については、ポーランド人配偶者を持つ人であっても、原則としてVISAが要求されます。VISAは日本のポーランド大使館で発行しています。ポーランドでの滞在予定が180日以内であれば、必要とされるのはVISAの取得のみです。

VISAを取得した場合、入国時に財源提示を要求されることは、原則としてありません。ただし、空港の職員によってかなり差があるので、予期せぬこと(時として不快な)を要求されることもあります。


●短期滞在許可 (zezwolenie na zamieszkanie na czas okreslony; karta pobytu) の取得について

 ポーランド人配偶者を持つ日本人がポーランドに180日以上滞在する場合は、短期滞在許可を取得する必要があります。この短期滞在許可の有効期間は2年間です。

 永住権を取得するには最低5年間、ポーランドに居住していることが条件となりますので、永住権を希望する人も、最初の5年間は、2年ごとにこの短期滞在許可を更新しなければなりません。

 短期滞在許可申請時に必要な書類等は以下の通りです。

  1. 申請書 (wniosek o udzielenie zezwolenia na zamieszkanie na czas oznaczony)  2部: ポーランド共和国内に6ヶ月以上滞在しなければならない理由を明記したもの。
  2. 申請者のカラー写真 2枚: 最近撮られたもので、サイズは4.5cm×3.5cm。人物が中央に写っていること、目が見えないような黒いメガネをかけていないこと(医師の発行した診断書が添付されている場合にはこの限りではない)、顔の左側と両目と左耳がはっきり映っていること、照明が顔を均一に照らしていることなどの条件を満たしているもの。
  3. 収入証明: 申請者の収入を証明するもの。または財産の保有と、その額を証明する書類。
  4. 収入印紙 (znaki oplaty skarbowej): 申請手続き手数料用。
  5. 身分証明書: 有効なパスポートまたは申請者の身分を証明する暫定的な証明書でも可。特殊な事情により、パスポートを所持していない、または取得できない場合には、ほかの身分証明書の提出でも可。
  6. 住民登録票 (poswiadczenie zameldowania): 申請者がすでにポーランドに滞在している場合は、上記の短期滞在許可申請書を管轄県庁に提出する際、住民登録票も一緒に提出しなければならない。住民登録は、地元の区役所で行う。

 申請者がすでにポーランドに滞在している場合は、居住地の管轄県庁(ワルシャワなら、マゾフシェ県庁)の外国人課に、上記1〜6の書類を提出します。日本にいるときに申請する場合は、ポーランド大使館に上記の1〜5の書類を提出します。

ただし、申請を受け付ける機関が、さらに以下の書類の提出を要請する場合もあります。

  1. 出生証明書(odpis aktu urodzenia)の写し。
  2. 結婚証明書(odpis aktu malzenstwa)の写し。
  3. 申請者が、母国(この場合は日本)から課せられた納税等の義務をすでに果たしていることを証明するもの。(zaswiadczenie o braku zobowiazan podatkowych)
  4. 母国発行の無罪証明書:現在罪に問われる身ではないことを証明するもの。(zaswiadczenie o niekaralnosci)


●永住権 (zezwolenie na osiedlenie sie; karta stalego pobytu) の取得について

 ポーランドに永住することを目的としている場合、永住権を申請できます。永住権を取得すると、基本的な権利は原則として一般ポーランド人と同じになるので、労働をはじめとして、多くの点で煩雑な手続きが不要になります。

ただし、永住権の取得は困難になりつつあります。たとえば、永住権申請の条件としてのポーランド滞在年数が、今年2001年7月から、5年以上に引き伸ばされました(それまでは3年だった)。

また、永住権を取得したのちも10年ごとに更新手続きをする義務があります。

永住権申請時に必要な書類等は、以下の通りです。

  1. 申請書 (wniosek o udzielenie zezwolenia na osiedlenie sie)  2部
  2. 申請者のカラー写真 2枚: 最近撮られたもので、サイズは4.5cm×3.5cm。人物が中央に写っていること、目が見えないような黒いメガネをかけていないこと(医師の発行した診断書が添付されている場合にはこの限りではない)、顔の左側と両目と左耳がはっきり映っていること、照明が顔を均一に照らしていることなどの条件を満たしているもの。
  3. 住民登録完了証明 (poswiadczenie zameldowania): 住民登録の義務をすでに遂行したことを証明する書類。
  4. 永住を希望する理由を裏付ける書類。たとえば、
    • すでに5年以上、合法的にポーランドに滞在していることを証明するもの。
    • 永住権の申請を根拠付ける書類。
  5. 収入証明: 申請者に、住居費と生活費をまかなうに足る収入があることを保障するもの。または財産の保有と、その額を証明する書類。
  6. 教養証明・資格証明: 最終学歴の卒業証明書、また、取得した資格を証明するもの。
  7. 申請者の履歴書・経歴書等
  8. 収入印紙 (znaczki oplaty skarbowej): 申請手続き手数料用。
  9. 身分証明書:有効なパスポートまたは申請者の身分を証明する暫定的な証明書でも可。特殊な事情により、パスポートを所持していない、または取得できない場合には、ほかの身分証明書の提出でも可。
 申請者は、居住地の管轄県庁の外国人課に、上記1〜9の書類を提出します。

 ただし、申請を受け付ける機関が、さらに以下の書類の提出を要請する場合もあります。

  1. 母国発行の無罪証明書。(zaswiadczenie o niekaralnosci)
  2. 申請者が、母国から課せられた納税の義務、母国内での何らかの支払い義務をすでに果たしていることを証明するもの。(zaswiadczenie o braku zobowiazan podatkowych)

 また、県知事は、必要と思われる場合には、許可を出す前に申請者を呼び出して説明を求めることができます。


●労働について

 労働許可等については非常に煩雑なので、ここではごく簡単に触れておくにとどめます。

 企業の駐在員として、または出張などで働く場合は比較的簡単です。短期の場合、労働VISAを取得するだけで済みます。

 また、永住権取得後は特に労働許可を得る必要はありません。

 ただし、永住権取得資格を得るまでの5年間の間に、短期滞在許可の人が労働するのは、簡単ではありません。企業で正社員として働く場合はまだしも、個人で、たとえばピアノ教師だとか日本語教師、通訳などとして働く場合は、非常に煩雑な手続きを求められます。

 さらに問題は、それらを律する法律等がしばしば変わること、そしてそれを担当する役所の窓口が法律等をしっかり把握、理解していないことなどです(これはポーランドの役所全般についていえる)。

 ですから、電話で問い合わせたときの答えと、実際に窓口に言ったときの説明が全く異なっていたり、窓口が変わるたび、また、人が変わるたびに、別のことを言われることは良くあることです。

 企業で働く場合は別として、個人で労働許可の申請を行うときは何度もしつこく問い合わせを繰り返し、要求される可能性のある書類は、たとえ別のところで必要ないといわれても用意をしておく位の慎重さをもって準備をすることをお勧めします。

(かつ しゅんのすけ・文筆家 2001.08.29)





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