年金改革: 公募型年金基金は経済を活性化するか






契約を呼びかける普通年金協会(PTE)の大看板(ワルシャワ 文化科学宮殿前 1999.09.08)


 四大改革(地方行政改革、健康・保険改革、教育改革、年金改革)のひとつとして、1999年から年金改革が始まった。この改革の柱は、これまで国がプールしていた年金積立金の一部を民間機関を通じて運用できるようになったことである。国民にとってみれば年金資金運用でこれを大きく膨らませ、市場にとって見れば大量の年金資金が市場に流れ込むことによって投資が活性化する可能性が生まれることになる。しかし、市場経済化からわずか10年足らずでの新制度導入で、制度を良く理解していない国民も多く、国民の間で不安の声も聞かれる。

 新制度では、年金は3つの柱(Filar)に分かれる。第1の柱(I Filar)は、従来どおり企業と従業員(または個人)が社会保障公社(Zaklad Ubezpieczen Spolecznych: ZUS)に払い込む、いわゆる確定給付型の部分である。第2の柱(II Filar)は、21社ある普通年金協会(Powszechne Towarzystwo Emerytalne: PTE)のうち1社を選択して年金資金の一部(Otwarty Fundusz Emerytalny: OFE)の運用を委託する、いわゆる確定拠出型の部分である。第3の柱(III Filar)は、自由加入型の年金プランで、日本の生命保険会社等が行っている年金保険に相当する。この制度のモデルはスウェーデンが1999年1月1日から導入したシステムであるが、チリ、アルゼンチン、メキシコなど中南米諸国の制度も参考にしている。第3の柱は米国のシステムがモデルとなっている。

 例えば、企業および従業員がZUSに100zl納入すると、47zlは健康保険等の基金に、53zlは年金基金に配分される。この後者のうち34zl(8分の5)はZUSに残り、残りの19zl(8分の3)が普通年金協会で運用される。普通年金協会運用分にどのくらいの配当がつくかは各普通年金協会の実力次第で、将来同じ年金積立をしたのに受け取る年金額が大きく違うということも起こってくる。普通年金協会が運用に失敗して倒産した場合は、共同で設立した保障機構が年金積立額を保障することになっている。普通年金協会には、AIG(Alico, Amplico Life)、Allianz(Allianz, Allianz AG)、Commercial Union(CU TU na Zycie, CU Assurance Company, BPH, WBK)、National-Nederlanden(ING Continental Europe, Holding BV, BSK)、Pekao/Alliance(Bank Pekao, Alliance)、Pioneer(Pioneer Group, Nationalwide Global Holding)、Pocztylion(Poczta Polska, Paribas, Cardif)、Zurich Solidarni(Zurich Solidarni Sp. z o.o., Zurich Solidarni Polska)、などがある。どの協会も、映画俳優を宣伝に起用するなどして顧客獲得に躍起になっているが、獲得合戦が過熱しすぎて、勧誘が強引だったり、勧誘員が加入契約書を偽造したりと様々なトラブルも発生している。

 1999年9月1日に30歳に満たない者は、今年の9月30日までにいずれかの普通年金協会と契約しなければならない。期日までに選択しなかった場合は、コンピュータで無差別にいずれかの普通年金協会に振り分けられる。1999年9月1日に30歳以上の者は、今年の12月31日までにいずれかの普通年金協会と契約しなければならない。ただし、1949年1月1日以前に生まれた者(つまり50歳以上の者)には旧制度が適用される。

 従来の年金制度は財源が枯渇しており、将来年金支給が行き詰まるのは時間の問題であった。新制度の導入はこれを解決する画期的制度として期待される。ポーランドでは現在、年金受給年齢が男性65歳、女性60歳となっているが、国営企業民営化やリストラに関連した早期退職制度などの影響で、実際には平均で男性59歳、女性55歳となっている。年金基金を運用するシステムの導入で、この受給年齢を引き上げることができるとの期待もある。



人気俳優のボグスワフ・リンダを使った普通年金協会の看板広告


基本法: Ustawa z dnia 22 sierpnia 1997 r. o pracowniczych programach emerytalnych (Dz. U. Nr 139 poz.932 ze zm.); Ustawa z dnia 28 sierpnia 1997 r. o organizacji i funkcjonowaniu funduszy emerytalnych (Dz. U. Nr 139 poz. 934 ze zm.)

参考文献: Czechowska, Maria (1999). Reforma emerytalna. Poradnik. Ubezpieczenia spoleczne po reformie. Warszawa: AD Dragowski.; Gora, Marek (1999). 'Ekonomiczne podstawy funkcjonowania nowegosystemu emerytalnego w Polsce', Gospodarka Narodowa. 3(95), Warszawa, pp.9-24.; Borowik, Marek (1999). 'Reforma systemu ubezpieczen emerytalnych'. Nowa Polska. Warszawa: IKAR, pp.196-209.; Kotlarski, Pawel (1999). 'Otwarte fundusze emerytalne na starcie reformy systemu emerytalnego'. Nowa Polska. Warszawa: IKAR, pp.210-215.; Rzeczpospolita.; Gazeta Wyborcza.

(1999.09.08)



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