ポーランドを知るための60章







【編著者】 渡辺克義
【著 者】 家本博一、置村公男、柴理子、田口雅弘、戸波勝徳、中村年延、西成彦、西野常夫、八木めぐみ、山田朋子、吉岡潤、渡辺克義
【書 名】 『ポーランドを知るための60章』
【出版社】 明石書店
【出版年】 2001年
【 ISBN 】 4-7503-1463-3



【短 評】
 本書は、ポーランドを知るための入門書として最適である。それぞれの章が3ページ程度にまとめられており、知りたい事項を事典のように調べることができる。執筆者は歴史関係者が多く、歴史の話題が全体の中で大きな比重を占める。しかし、第一線の歴史家によるポーランド史の描写は決して読者を飽きさせない。また、ポーランドの生活、文科、芸術など、幅広い分野にも言及されており、ポーランドという国の確かなイメージを掴む上で最良の入門書といえるだろう。



【目 次】
はじめに(渡辺)
 
1 POLAND 建国から中欧復活まで11 
 
第1章ローマ・キリスト教世界の東の果て
 --国家の形成とキリスト教の受容
12(戸波)
第2章中世の大国--ヤギェウォ王朝の成立と拡大16(戸波)
第3章国王を選挙で決める国--シュラフタ民主政の時代21(戸波)
第4章国家の消滅--国土の分割と国民的英雄コシチュシュコ25(戸波)
第5章ドンブロフスキと皇帝ナポレオン--創られた伝説29(中村)
第6章チャルトルィスキとパリのサン・ルイ島--大亡命33(中村)
第7章ミツキェヴィチとコレージュ・ド・フランス
 --「スラヴ言語・文学講座」と友愛精神
36(中村)
第8章パリ・コミューンとポーランド人亡命者--夢の挫折39(中村)
第9章ルールからリールへ--炭鉱の記憶43(中村)
第10章第二共和国の誕生--二人の指導者47(田口)
第11章冬戦争をめぐるポーランド・フィンランド関係
 --バルト海を挟んだ両国の不思議な縁
51(渡辺)
第12章ヤヌシュ・クソチンスキ--抵抗運動に身を投じたアスリート54(渡辺)
第13章アウシュヴィツ--心に刻み、そして和解するために58(田口)
第14章オーデル・ナイセ線--戦後ドイツとの国境線62(吉岡)
第15章スタニスワフ・ミコワイチク
 --押しつけられた共産党権力への抵抗
66(吉岡)
第16章社会主義建設の夢と現実--スターリニズムを支えた心性70(吉岡)
第17章「社会主義的消費社会」--ギェレク時代(一九七○年代)74(吉岡)
第18章「連帯」運動と戒厳令
 --社会変革の夢を砕いた「より小さな悪」
78(田口)
第19章社会主義との訣別--体制内改革の限界82(田口)
第20章体制転換--二一世紀を開く壮大な実験85(田口)
 
2 POLAND ポーランド人とユダヤ人89 
 
第21章ユダヤ人議会--ポーランドが認めた民族自治機関90(山田)
第22章ユダヤ人とポーランド民族運動--協力か排除か94(山田)
第23章ユダヤ人と酒造販売?居酒屋店主というステレオタイプ98(山田)
第24章第二次大戦下のポーランド人とユダヤ人--援助か見殺しか102(山田)
 
3 POLAND ポーランドと日本107 
 
第25章ピウスツキとドモフスキ--日露戦争とポーランド人108(柴)
第26章日本美術収集家ヤシェンスキ--浮世絵コレクションの数奇な運命111(柴)
第27章杉原千畝、小野寺信とポーランド人スパイ--第二次大戦中の諜報活動114(柴)
第28章新教育制度と日本--一九八九年以後の文化交流の展開118(柴)
 
4 POLAND 政治・経済・社会の変貌121 
 
第29章政党、議会、大統領--激動の一九九○年代122(田口)
第30章ラディカルな経済自由化--バルツェロヴィチ・プランの功罪126(田口)
第31章高度成長の中の不安--見直される国家の役割130(田口)
第32章ヨーロッパの一員--グローバル化の中でアイデンティティを模索135(田口)
第33章失業の脅威--体制転換がもたらした不安要因139(田口)
第34章セーフティネットと社会保障--弱者に優しい社会は作られるか143(田口)
 
5 POLAND 市民生活とカトリック147 
 
第35章祝祭日--カトリックの伝統が季節を告げる148(八木)
第36章暮らし--自然と文化を愛する心152(八木)
第37章自 然--母のように優しい大地155(八木)
第38章料 理--森の恵みと貴族の伝統159(八木)
第39章習慣・エチケット--歴史と文化の融合163(八木)
第40章カトリック教会--聖俗両面で真の権威主体として発言する167(家本)
第41章マリア信仰とポーランド人教皇
 --われらが祈りの取り次ぎを求めて
171(家本)
 
6 POLAND 言語の周辺175 
 
第42章命 名--アンナちゃんとウカシュくん、さくらちゃんと翔くん176(渡辺)
第43章苗 字(1)--ポーランド人の改姓180(渡辺)
第44章苗 字(2)--ポーランド系アメリカ人の改姓183(渡辺)
第45章あだ名--ポーランド・日本両文化の断片187(渡辺)
第46章ボドゥエン・デ・クルテネのエスペラント観
 --大言語学者は好意的に捉えた
190(渡辺)
第47章カーター米大統領歓迎式での誤訳--ある通訳者の“悲劇”194(渡辺)
 
7 POLAND 文学・芸術・映画197 
 
第48章ノーベル文学賞四人衆
 --シェンキェヴィチ、レイモント、ミウォシュ、シンボルスカ
198(西野)
第49章ジョゼフ・コンラッド--英語で書かれたポーランド文学202(西)
第50章ステファン・ジェロムスキ--ポーランド文学の良心206(西野)
第51章スタニスワフ・プシブィシェフスキ
 --ポーランド・デカダン文学の領袖
210(西野)
第52章ヴィトルト・ゴンブロヴィチ--亡命文学の異端児214(西)
第53章抵抗歌(1)--ワルシャワ蜂起(一九四四年)のもとで218(渡辺)
第54章抵抗歌(2)--十二月事件(一九七○年)のもとで222(渡辺)
第55章ヤン・マテイコ--ポーランドの国民画家226(渡辺)
第56章ヤツェク・マルチェフスキ--隠喩と象徴の画家229(山田)
第57章映画の伝統と戦後の作品--ポーランド映画史概説234(置村)
第58章ワイダ映画の原点--国軍とユダヤ人に対するワイダの思い237(置村)
第59章キェシロフスキの重層的なアイデンティティ
 --都市生活者の風景
241(置村)
第60章国民映画の現況--映画における言語文化の発露を求めて245(置村)
 
ポーランドを知るための文献249 



【その他】
編者:渡辺克義(ワタナベ カツヨシ)
1960年新潟県生まれ。東京外国語大学卒。東京大学大学院、ワルシャワ大学博士。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、山口県立大学助教授。ポーランド史・ポーランド語学専攻。