わんちょの住宅建設事情


わんちょ




《 はじめに 》

 ポーランド共和国クラコフ市在住のわんちょです。建設関係メールマガジン発行人山田さんのご好意のより、メールマガジンにポーランドの住宅建設について少しずつ連載させて頂く記事をこちらのサイトにも転載させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします!

ご意見ご感想をわんちょにお送りくださいませ!
wancio@priv6.onet.pl



2000年4月10日 《この国で…》

 私は、ここポーランドに来てはじめにした事は、住むところを探す事でした…。1996年の1月のことです。

 ここの国では、一般的に簡単な(!)(私には簡単と思いませんが…)工事なら自分でするんです。ブレーカーの交換とか、ガスの鉄管の配管とかとかまでです。ですから、街の金物屋で鉄管用のねじ切りの工具とか風呂おけ、それにわけのわからない部品まで簡単に買うことが出来ます。郊外の大型のホームセンターに行くと、これがこれが大型の建材店という感じで、断熱材のワタから窓(高気密用の2重窓や3重窓)、それにタイルに床板(オークのムク板、厚さ20MMが安いんだ。1平米3000円くらい!)、ドア(オークの1枚板のドアが10万円くらい!)、壁紙から照明器具までなんでもあります。そんな国ですから、ちょっとした交換なら、「そのくらい自分でしたら!」と言われるんですよ。ですから私は、今住んでいるアパートの改装のいたるところを自力で仕上げました…。そんな国ですから、家を建てるなんて日本とは明らかに考え方が違うんです。だってレンガ作りの家なら300年(三百年)とか平気で住むと言う事を考えて作るんですから…。次回から具体的に家を建てるシュミレーションをしてみます!




2000年5月1日 《ポーランドで家が欲しい》

 ポーランドで家が欲しい! 建てようと思ったらまずどうするか? 建築許可(引き込み許可)を市役所や電気とか水道などの会社、役所からもらいます…。許可書の有効期限はおおむね発行日から2年間です。この期間内に引き込む工事を完了する必要があります。さて、この各種許可を取得したら、次に正式に建てる建物の条件(設計図)を決めます。設計図は市販品!を購入してもいいし、特別に設計してもらってもいいのですが、同じ大きさの建物で値段が10倍くらいの違いがあるんです。一般的な個人住宅で総床面積250平米くらいの住宅で市販品なら2万5千円くらいで買えますが、ここの収入を考えるとこれでも安くは無くて、一般的な公務員の収入の一月分くらいの金額です。これらの設計図を購入したら正式に市役所に建築許可を申請します。

 土地の話を書いておきますと、ここの国で、普通の一戸建て用の土地とか、高層住宅用とかと言うのは許可が土地にあるかどうかと言うことによって違います。ですから、土地登記に宅地とか書かれているものではありません。特別な許可の紙に、ここの土地にはどんな種類の建物を建ててもいいですよ(!)と書かれているのみです。ですから、土地の固定資産税の申請はおもしろく、家が建っている場所(建物の建坪相当分)は、宅地課税、そのほか(庭)は、空き地なら空き地用の課税、菜園なら農地の課税となります。農地と空き地(住宅の建設許可が出ている土地でも原野でも同様)では、農地の方が税金は安いんです…。ですから住宅建設可と言う許可が出ている土地で、日本で言うなら宅地でも、そこを菜園として所有するなら、農地として固定資産税を納める事が可能なんです。




2000年5月15日 《全ての許可を取ってから》

 ポーランドで家を建てる許可を、自分で正当に取ろうと思ったら、1年はかかるのではないでしょうか(業者に委託しても半年はかかるようです)! あれもこれもと許可(水、電気、ガス、市の建設仮許可)を集めて、集まったら、また決めた設計図とともに(本)申請して、許可が出たら建設に取り掛かると言うものですから…。

 全ての許可が下りたら、まず基礎の建設から始まりますね! 日本だと、基礎だけで建設は休止なんて事は、余程のことが無い限り無いと思うのですが、ここでは業者が違う(!)から、工事休止は普通です。どうしてこうなるか(?)と言うと、簡単に言えば、ゼネコンを個人の施主がやると思っていただけると簡単です。また、建設に基礎のみ作ってしまえば、完成まで10年かかっても、20年かかっても、いっこうにかまわないと言う事もあります。ですから、個人住宅では、いつ工事しているのかわからないと言う建設中の家がたくさんあります。また、個人住宅の場合、基礎から自分で建てると言う人もたくさんいます。私の知り合いも、自分で建てていると言う話を聞いたものですから、どんな具合か見てきました。ここの場合、もうあと内装のみという感じで、出来あがっていました。自分でなんでもする、それがここポーランドの家作りなんです。




2000年6月1日 《地下室と断熱》

 こちら(ポーランド共和国)の一般的な個人住宅には、地下室があります。そうは言っても、最近の個人住宅では地下室の無いものの方が多いのですが…。地下室には、食料品を貯蔵したり不用品を保管したりという事に使われるのが普通です。この地下室を作れば、その分基礎の深さは増すわけですけど、5階建てくらいのアパートでは、地質にもよると思いますけど、私が見たところでは、その地下室の深さから2〜3メートルくらいしか掘っていないようです。ここは地震がありませんから、日本のようの丈夫な基礎や柱は必要としないという条件もありますけど、素人の私が見ると、こちらの建築物は、基礎は浅いし、柱は細いか無いような作りですから、すごく心配な気持ちになります。それでも、何百年も建っているのですから、地震のない国と言うのは、建物が長持ちするものだと感心しますね。そんな事もあって、こちらでは耐震と言う考え方はありません。

 こちらで住宅を建設する場合、一番に考えなくてはならないのは耐震より断熱です。冬には、最低気温がマイナス30度なんて事にもなるところですから、これは重要で、壁(レンガの外壁の場合、厚さ50センチ…普通の一戸建て住宅)の中心にハッポースチロールの板(10センチ厚)をはさんだり、壁の外側にこのハッポースチロールの板を貼り付けたりする断熱が一般的です。日本のようの、外壁の内側で断熱する内断熱は聞きません…。こちらの住宅では、結露等によるカビの話を聞かないのはこの断熱の違いによるものと思います。




2000年6月15日 《基礎 設計図》

 建物の高さ(屋根のてっぺんまで)が約13メートルの建物(総床面積235平米、880立米)で、壁がレンガで出来ていて、その壁(主用)の厚さが50センチ(中間に10センチの断熱材をはさみます)の建物に基礎を作る場合、日本でだとどのくらいの基礎が必要になるのかわかりませんが、こちらポーランドでは、深さ1メートルの所にコンクリートで固めてそれを基礎とします。砂利を入れるとか固める、そんな事は普通無くて、掘ってそのままそこにコンクリートを流し込んで基礎と言うものです。設計者に聞いたところでも、この位の高さの建物で、一戸建ての場合、この1メートルの基礎と言うのはすごく一般的との事です。私から見ると、これだけの建物重量があるのに、この基礎で大丈夫なのかと心配になるくらい簡単な基礎です。

 建物の設計図についてなのですが、こちらの設計図は普通市販されている事を前に書きましたが(市販品でなく、独自に設計を依頼することも、もちろん可)、その市販品の設計図を見ることが出来ましたので、その印象を書いていきます。第一印象…「これだけ!?」。中身…日当たりの陰の図面等無し…。いたって簡単な設計だと思う…。全枚数32枚、これで、基礎から本体、屋根、そして設備まですべて一通りそろっている…。「地震がないから、こんなものか?!」とも思うけど…、壁(レンガ)の中に鉄筋は無い!!! 「これでいいの?」って言う感じ。鉄筋が入っているのは階段と床のみ。「でもさすが!」と思うのは暖房の設計図。全枚数のうちの3枚が暖房関係だった。




2000年7月1日 《設計図》

 この前、こちらの設計図について少し書いたら、「この建物にしては枚数が多いのではないか?」と言う話がありましたので、詳しく書きます。まず31枚の設計図には(前回32枚と書きましたが間違いでしたごめんなさい)建物の建設予定地のどこに建てるかと言う図面は含まれません。ただ単に建物のみの図面です。

 1階平面図、2階平面図、屋根の骨組みの図面、屋根の勾配の図面、屋根骨組みの模型図、家全体の立面図3枚、4方向からの完成予想図4枚、窓とドアの寸法図2枚、基礎の図面、階段の図面、2階の床の図面、2階床柱の鉄筋の組み方の図面、配電盤の図面、1回の配線図、2階の配線図、屋根の避雷針設置図、上下水道の平面図1階、2階、下水道立面図、水とお湯の立体配管図、暖房(セントラルヒーティング)の配管図1階、2階、回路図のような暖房配管図、ガスの配管図、ガスの立体配管図、これが全て31枚の図面です。この図面の中には壁の厚さ等の指示はありますが、作り方に関しては特別に有りません。これはレンガの組み方が一般的組み方と言うことらしく無いようです。階段と床に関してのみ、鉄筋の組み方まで記載されています。これらの図面の中には5枚の完成予想図が含まれていますから、本体工事と設備工事で使う図面は26枚となります。ですが、水道もガスも立体配管図のような図面がありますし、枚数のうちには避雷針の設計図もあります。こうして考えてみると、私は図面自体は少なく感じるのですけど、専門家の方から見るといかがなものでしょうか?

 下記のページで設計図カタログの外観や設計図の本の表紙、そして1階平面図等設計図がご覧いただけます。

http://friko7.onet.pl/kr/inu/ems/emsmmg/kennsetu.htm


わんちょ・クラクフ在住