八木めぐみ
新しい百科辞典の発行が開始された。作業のコンピュータ化によって編集期間が短縮され、最新の情報も掲載されている。装丁、印刷とも美しい全6巻のこの百科事典には約8万5千項目、約8千の挿し絵、写真等、約300の地図が収められている。1巻95ZL(約4000円)。第1巻から順次刊行され、1997年には完結する予定。
また、この百科事典を基礎に、約4万項目(うち2万〜2万5千項目はポーランドに関するもの)とそれに付随した画像、音声を収めたCD−ROMが来年の秋を目途にPWNから発行される。このマルチメヂディア百科事典は、毎年内容が更新される予定。
ポーランドでは現在このほかに、様々なポ英・英ポ辞典、新しい国語辞典、外来語辞典、音楽事典、経済・ビジネス用語辞典、時事用語辞典などが次々と刊行されている。政治・経済・社会体制がめまぐるしく変化する中で、各分野の情報に対する需要が急速に高まっており、また、ポーランド語語自体もこうした流れの中で変化を余儀なくされている。辞書・辞典刊行ラッシュはこうした時代の要請を映し出す鏡でもある。 (MT)
(第13号 1995年12月29日発行)
米国には、「いかにして米国に移民し社会・経済的に成功したか」、「いかにして文化的・民族的壁を乗り越え米国人としてのアイデンティティを確立したか」といったたぐいの「移民もの」と呼ばれる本は限りなくある。本書もそうした「移民もの」のひとつだが、単なる苦労話やサクセスストーリーにとどまらず、言語と文化の問題や自己の確立について多くの示唆を与えてくれる奥行きのある回想記に仕上がっている。
本書は、「楽園」、「失楽園」、「新世界」の3章からなっている。クラクフに生まれた著者はポーランドをこよなく愛しながらもユダヤ系の家系のためポーランド人してのアイデンティティを完全に共有できない。1959年、家族とともにカナダのヴァンクーヴァーに移民し、さらに彼女は米国に渡る。新しい土地で疎外感を味わいながらも、著者は次第に新しい文化と言語を自分のものにしていく。ポーランド移民が新大陸でどのような生活を送っているのか、またそこでポーリッシュ・コネクションがどのような役割を果たしているのかなどもうかがい知ることができ興味深い。原書は、Eva Hoffman“Lost in Transition; Life in a New Language”, Lenguin Books, 1989. (MT)
(第11号 1993年7月12日発行)
日本の明治中期から現代までの詩、計197編を日・ポ対訳で盛り込んだ『現代日本名詩選 ふゆのさくら』(国際文化出版社、1992)が、ようやくポーランドの本屋にお目見えした。
この詩集は、足達和子さんがワルシャワ大学日本学科コタンスキ名誉教授の協力を得て翻訳し、10年がかりで出版したもの.各種財団・基金の補助でまかなえない部分は、足達さんが個人で費用を負担した。そうした努力の甲斐があって、本書は第28回日本翻訳出版文化賞を受賞している。
ところが、ポーランドで販売する予定の9500部が、ポーランド配本業界の混乱から、ずっと眠ったままになっていた。最近ようやく事態が好転し、待ちに待ったポーランドでの配本となった.日本の近現代詩がこのようにまとまった形でポーランドに紹介されるのは初めてで、人気は上々である。(MT)
(第11号 1993年7月12日発行)