国立ショパンアカデミー学院2001年夏期セミナー報告


影山美恵子








修了コンサート後の教授と受講生達

 ポーランドワルシャワ市のショパンの母校国立ショパンアカデミー学院で、今年で4回目の夏期ピアノセミナーが平成13年8月23日から9月2日まで開催されました。

担当講師は:
  • レギナ スメンジャンカ教授(国際ショパンコンクール審査員、ショパンアカデミー学院学長歴任)
  • カジミエシュ ギエルジョド教授(国際ショパンコンクール審査員ショパンアカデミー学院学長歴任)
  • テレサ マナステルスカ教授(世界児童ピアノ指導者の第一人者、EPTA(ヨーロッパピアノ教授協会)理事、
  • アンジェイ ドツキエヴィッチ教授(ショパンアカデミー学院音楽学部長、ポーランド現代音楽の第一人者、作曲家/ピアニスト)
 セミナーは、個人レッスン5回、各1時間30分、ショパンアカデミー学院内には、個人の練習室を確保して、アカデミー学生寮に滞在し、まさにワルシャワでショパンと共に生活しました。

 過去セミナー参加者は、第4回国際パデレフスキ−ピアノコンペテイションで、見事優勝(日本人で初)の奥村友美さん、また、ピテイナピアノコンペテイションで金賞グランプリを獲得した佐多真由子さん。ショパン国際ピアノコンクール第2次予選進出(デイプロマ)根津理恵子さんと、同じく1次予選通過の堀江陽子さんなど、セミナーを通じショパンの神髄、その表現力を取得されますます活躍しています。

 ショパンアカデミー学院セミナーは大きく門を開き、参加資格の規定はありません。今年も、優秀なピアノ演奏家にまじり、普通科で学ぶ高校生、音大などでピアノ専攻していないピアノ愛好家、作曲コースを切望し参加した受講生達も、セミナーを沸せました。光栄にも、同学院コンサートホールでの修了式と修了コンサートの客席に田口雅弘教授が来られました。

修了後受講生のアンケートより
●井上麻紀さん(音大研究科学生)
 想像していた以上に、素晴らしいレッスンをしていただいて、とても充実した内容でした。「もう一度、自分の力を試してみよう」と思えるようになったのは、スメンジャンカ先生に出会ったおかげでした。「素晴らしい」の一言です。

●奥野浩康さん(高校生)
 マナステルスカ先生に教わりましたが、とても丁寧に教えていただき分かりやすかったです。そして、どんな練習をすれば良いか、どんな気持ちで音楽に取り組むのかと言うことなどまで教えていただきました。機会が有ればまた教えてもらいたいです。アカデミーの練習室の環境は最高でした。ピアノも1台づつ貸してくれたし、練習時間も充分で、本当に音楽に集中できる環境でした。

●戸梶江吏子さん(短大音大講師)
教授の至宝とも言える芸術はただただ感激するばかりでした。通訳の方は、皆さん有能なかたでとても分かりやすく的確でした。イベント『ショパンツアー、ワルシャワフィルハ−モニーコンサート、スメンジャンア/ギェルジョド両氏のショパン協会コンサート、小林倫子さんのショパン生家コンサート、ワジェンキ公園野外コンサート、クラクフへの小旅行』は感激の連続でした。特にスメンジャンカ教授のコンサートは最高でした。

●東法之さん(作曲科専攻)
とても親切に教えていただき、大変よかった。国際ショパンコンクール開催会場ワルシャワフィルのコンサートには大変感動しました。修了コンサートも満足しています(自作の曲をプロの弦楽四重奏者と共にピアノ演奏して披露)。寮生活は、かなり過ごしやすかった。共通の目的、悩みを持った仲間との出会いが出来ました。

(追記)
 今年は、ポーランド初代大統領でもあり、ショパンの作品の校訂者として不朽の名声を確立している、パデレフスキの没後60周年です。また、第5回国際パデレフスキ−ピアノコンペテイションが今年11月6日からビドゴシチ市で開催される年でもあります。いわゆるパデレフスキの年です。

 パデレフスキは、12歳の時ショパンアカデミーでピアノを学び18歳で卒業すると同時にショパンアカデミーでピアノ教師になりました。しかし、もっと基礎的なピアノの習熟と音楽理論や作曲法の勉学の必要性を痛感し、ポーランドを離れ、作曲理論を学ぶためにヨーロッパへ。それがかれに大きな人間関係、国際感覚を培う上で重要な意味をもつことになりました。後のヨーロッパ演奏活動だけでなく、ついには,1890年ニューヨークデビューを果たし、なんと4ヶ月で100回に及ぶ演奏会を開催。全米でもっとも名の知れた、ポーランド人になりました。しかし、1910年を契機に、彼はそのピアニスト活動を制限する大きな方向転換をしました。祖国ポーランドの独立への祈願、祖国復建を次の自分の課題とした人生の方向転換です。

 ショパンの音楽の中に、哀愁とか自由と人間性を感じるのは、また、ショパンの迸る祖国愛と悲しみ、永遠の平和の願いを感じるのは、パデレフスキという存在が影響しているからでしょう。パデレフスキほど国家の独立を勝ち取るために奔放し可能性を追求し、辛酸をな め使命をまっとうした政治家はいないでしょう。パデルフキの年として、ポーランドでは記念コンサートがポーランドで開催され、記念テレフォンカードなども発行されています。

 そのパデレフスキの孫弟子であるレギナ スメンジャンカ教授の、彼との思い出を綴ったエッセイが、ピアノ月刊誌ショパン12月(11月20日発売)に掲載されます。

(かげやまみえこ・ポーランド市民交流友の会事務局 2001.10.31)



ポーランド市民交流友の会




修了証書授与式(左から、ドツキエヴィッチ学部長、通訳、ポーランド市民 交流友の会会長ヤブロンスキー教授、ギエルジョド教授)

修了コンサート、弦楽四重奏者と共演し自作曲を演奏

ワジェンキ公園、ショパン像の横にコンサートの準備

ショパン協会でスメンジャンカ教授のコンサートで花束を渡す受講生

ショパンアカデミー学院にひっそりたたずむパデレフスキ像

パデレフスキの年を記念して発売されているテレフォンカード(表)

パデレフスキの年を記念して発売されているテレフォンカード(裏)