ポーランド料理


工藤久代さんの「作ってみませんか ポーランド料理」


バルシチ(Barszcz)


 バルシチ(barszcz)。ロシア料理のポルシチと名前は似ていても、実体はおよそ似ていないポーランド独特の鮮紅色のスープ。最近は日本でも見かけるようになったビーツ(ビートともいう)で色と味をとる、実のはいらないスープです。妖しくも美しい(?)紅色で寒い夜を暖かく過ごして下さい。牛すね骨を蒸してスープをとると髄がぷよぷよのペースト様になりますが、これを使った美味しいトーストもあわせてご紹介します。

材料(4〜5人分)
スープストック、牛すね骨(スープポーン) 500〜600g、にんじん、セロリ、長ねぎ、玉ねぎ、パセリの茎などのくず野菜 適宜、月桂樹の葉 2枚、粒こしょう 10粒位、ビーツ 100g、レモン 半個

作り方

  1. スープをとる。大きな2段式蒸しなべがある横合は、下のなべに水と野菜とスパイスを入れ、上の蒸し器に牛骨を置き、骨から出たダシが下に落ちるようにして中火で1時間位蒸す。水が減ったらさし水を。それができない場合は、材料を全部いっしょにして弱火で2時間位煮る。上に浮いている油を玉じゃくしであらかたすくいとる。味がうすいようなら、固形ブイヨンを入れる。きつくしぼったぬれぷきん(和てぬぐい)でこす。
  2. ピーツは洗って、かぷるくらいの水で竹ぐしが通るまでゆで、ゆで汁ごと冷まして皮をむく。大根を千六本にするおろし金があればそれを使い、なければ粗目のおろし金でおろすか包丁でせん切りにするかして、ビーツを細かくする。
  3. スープ3カップに2.のピーツを入れ、5分程煮てから網ざるなどでこしてピーツと汁に分ける。
  4. 3.のピーツに新たにスープ2カップを加え、5分程煮てもう一度色を出す。
  5. 4.をこして汁を3.の汁に加え、火にかける。味をみて塩コショウで調味し、最後にレモン汁をしぼって加えると、色がより鮮かな紅色になる。
  6. 器(両手つきスープ皿が正式。ティーカップでもよい)に入れ、パセリみじん切りを散らす。

 蒸してスープをとった牛骨の髄をはしでかき出し、フランスパンかバゲットを厚さ1cmで二つ切り(薄切りの食パンなら四つ切り)にした上になすりつけるようにぬり、塩コショウしてオープンで焼くと、とても実味しいトーストができる。

 バルシチは、ポーランドの正式な作り方では発酵させたビーツを使います。だからここでご紹介したのはいわば簡易バルシチといったところです。見た目に鮮やかですし飲めば身体がしんから暖まるので、ポーランド人の食卓には本当によくのぼる一品です。赤ワインを入れてもよいでしょう。ピーツの赤い色はアントシアン系色素、独特の甘味は蔗糖が多いせいなのだそうです。
 牛すね骨はかなり手に入りにくいのですが、大きなお店や外人のよく利用する店などで見つけた時に買って(100gが10〜20円と安価です)冷凍すれば持ちますし、なければ鶏ガラのスープでも結構代用がききます。ビーツもゆでて冷凍保存できます(解凍は室温または電子レンジ)。
 トーストの方は、嫁〔アグニェシュカさん〕が教えてくれたものです。昔は高級レストランでしかメニューにのっていなかったグルメ料理、モノ不足の今はそれもなくなってしまったとか。



(挿し絵: 武井摩利)



ビーツ(Buraki)

(工藤久代 『ポーランド月報』第36号、1985年3月号より)



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