ソルトレークシティー五輪 ポーランド人選手の活躍




 2002年2月に行われたソルトレークシティー・冬季オリンピックで、ポーランドは冬季オリンピックにおいて30年ぶりのメダルを獲得した。これは快挙といえるが、それでも各種世論調査によると圧倒的国民がマウィシュを除くポーランド人選手の活躍に不満を持っている。いったいなぜなのだろうか?

 ポーランドは過去19回の冬季オリンピックにすべて参加している12カ国のうちの1カ国だが、過去のメダル獲得は、1956年に銅1個、1960年に銀、銅それぞれ1個、1970年に金1個のみである。今回の冬季オリンピックでのメダル獲得は、1970年のフォルトゥナのジャンプで獲得した金以来、30年ぶりである。今回獲得したメダルはマウィシュのジャンプ・ノーマルヒルでの銅、およびラージヒルでの銀である。

 入賞の獲得ポイント数を見ると、ポーランドはアルベールヒルでは1ポイント、リレハンメルでは8ポイント、長野では12ポイント、ソルトレークシティーでは実に23ポイントを獲得している。この数字だけを見ると、ポーランドは確実に力をつけているように見える。しかし現実には、必ずしもそうとはいえない。今回獲得したポイントの内、13ポイントはマウィシュが一人で稼いだもので、更に3ポイントはマウィシュの活躍によるジャンプ団体の獲得ポイントである。これを差し引くと、7ポイントとなり、リレハンメルより後退する。つまり、今回のオリンピックは、マウィシュの活躍だけが目立ったということがいえる。前回の長野大会では、43名の選手を引き連れて参加したポーランドチームも、今回は選手30名と幾分寂しい。さらに、この30名の内21名は長野大会と同じメンバーである。つまり、新しい選手が育っていないともいえるだろう。国民の不満は、こうしたところにあるといえる。

 ポーランドが体制転換を果たし経済的に安定してきたのは、ここ数年である。現在20才の若者は、10才頃までモノのない社会主義時代の末期を過ごし、その後は急激な社会変革の中を必死で駆け抜けてきた。この間、莫大な資金を必要とする冬季オリンピック種目の練習と海外遠征に幸運にも専念できた若いスポーツ選手は少なかったであろう事は容易に想像できる。しかしながら、最近は少年スポーツ・チームが各地で復活し、次第に力をつけてきている。子供のスポーツ教育に惜しみなく資金をつぎ込める裕福な家庭も増えてきた。こうした子供達が世界を舞台に活躍する日はそう遠くないだろう。


活躍したポーランド選手

◇ジャンプ アダム・マウィシュ (Adam Malysz)
 1977年12月3日生まれ。24才。169cm、55kg。昨年のスキージャンプワールドカップで11勝をあげ総合優勝。足腰の強さを活かして弾道のように踏切り、すぐにV字に開くジャンプが特徴。長野では期待されながら良い結果が残せなかったが、クラクフ大学のゾラーズ教授らがチームを組んで彼の肉体を軽くて強い筋肉を持つ身体に改造。昨年、一気に花開いた。


◇フィギア・ペア ドロータ・ザグルスカ/マリウシュ・シュデック (Zagorska-Siudek Dorota & Siudek Mariusz)
 1994年から8年間ペアを組むこのペアは、国際スケート連盟が発表している世界のフィギュアスケーター番付で現在第7位。
 オリンピックシーズンでもある今季のプログラムは「パン・タデウシュ」のサウンドトラックを使った優雅な演技である。ポロネーズのリズムに乗ったスローイントリプルサルコーなど、3回のスロージャンプ(男性が女性を投げ、投げられた女性が回転して着氷)、またオリジナリティ溢れるリフト(男性が女性を持ち上げる)が見所。特にこのペアは、リフトの持ち上げ方と降ろし方がユニークである。
 このペアの特徴は、スピード感のある滑り、多様なリフト、高いスロージャンプ等で、長野オリンピック以降、1999年世界選手権銅メダル、2001年グランプリ・ファイナル(*)4位に入っている。しかしながら、今シーズンは充分な結果を出していない。

(*)グランプリシリーズとは毎年、米、加、仏、独、露、日で開催される大会で、各大会でいい成績を収めた上位6名(上位6組)がファイナルに出場できる。ファイナルは世界選手権、オリンピックの前に開催されるため、それらの大会の結果を占う上で注目されている。残念ながら、今シーズンのファイナルにはザグルスカ&シュデック組は出場できなかた。

ドロータ・ザグルスカ/マリウシュ・シュデック(ポーランド) 
1998 冬季オリンピック(長野) 10位
1999 世界選手権(ヘルシンキ) 銅メダル
1999 ヨーロッパ選手権(プラハ) 銀メダル
2000 ヨーロッパ選手権(ウィーン) 銀メダル
2001 グランプリ・ファイナル(東京) 4位
2002 ヨーロッパ選手権(ジュネーブ) 4位

(2002.02.26)



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